ここでは、コシヒカリの品種改良について少し記しましょう。
そもそもコシヒカリは、良品質で美味しく、いもち病に強い品種を作ることを目的として1956年に『農林1号』と『農林22号』を交配させて出来たお米です。
同じ交配種には、『ヤマセニシキ』、『ハツニシキ』、『ホウネンワセ』、『越路早生』があり、これらは姉妹品種ということになります。
いもち病とは、稲の病気では一番怖いものなのです。
大凶作の要因の多くが、いもち病であると考えられているからで、お米の品種としてはこれに強いものが必要だったのです。
しかし、姉妹品種であるホウネンワセや越路早生が品種改良の目的を達成したのに対し、コシヒカリはいもち病に弱いという難点のある品種だったのです。
ところが、コシヒカリは他よりも優れた品質と味を持っていました。
そのため、現在でも広く栽培され続けているのです。
コシヒカリの子品種には、『あきたこまち』、『コシヒカリBL』、『五百川』、『初星』、『ヒカリ新世紀』、『ひとめぼれ』、『ヒノヒカリ』、『森のくまさん』、『ユメヒカリ』があります。
孫品種には、『あきげしき』(ヒノヒカリ+九系919)、『キヌヒカリ』、『こしいぶき』(ひとめぼれ+どまんなか)、『しまひかり』、『はえぬき』(あきたこまち+庄内29号)があります。
また、ひ孫品種として『きらら397』が作られています。
余談ですが、コシヒカリBLというのは、いもち病に抵抗性を持つ新品種であり、BLはBlast resistance Lines(ブラスト・レジスタンス・ラインズ)の略称なのです。
尚、品種としてのコシヒカリは1つなのですが、銘柄としてはコシヒカリという品種とコシヒカリBLという品種群が存在します。
今は『新潟県産コシヒカリ』という銘柄の約90%以上はコシヒカリBL品種群ということになり、これは品種としてのコシヒカリとは違うものなのです。
ただし、味は以前のコシヒカリと同じ、もしくは少し上という評価を得ているため、試験でも特A判定を得ています。